年中暖かいマイアミは、北米の他地域が寒い冬の季節がハイシーズン、猛暑の夏はオフシーズンです。オフシーズンもお客に来てほしいということで、1950年代に市が運営する展示場「マイアミ・ビーチ・コンベンション・センター (Miami Beach Convention Center) 」が出来ました。年末のアートフェア「アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ (Art Basel Miami Beach)」はここが会場です。
現在この展示場の周辺も含めた大改造が計画されており、Sounth Beach ACEとPortman CMCの二社のディベロッパーがプランを提出し競っています。South Beach ACE側のデザインチームはオランダの巨匠レム・コールハース (Rem Koolhaas) 率いるOMA。かたやPortman CMCはデンマークの若手ビャルケ・インゲルス (Bjarke Ingels) 率いるBIGを擁しています。
Miami Beach Convention Center |
ビャルケ・インゲルス氏について何も知らなかった私ですが、コンペの話題をきっかけに、まだ若いのに自分のファームBIGを立ち上げて数々のプロジェクトをこなし、作品のみならずご本人も人気のあるスター建築家なのだと知りました。マイアミ周辺でも高層住宅など複数のプロジェクトが動いているとのこと。かつてOMAで働いていたので、今回、マイアミで師弟対決!とあいなり、地元メディアや建築関連サイトでは盛り上がっている様子です。
当初のPortman CMC(インゲルス)案は、展示場に隣接するライブハウス「ジャッキー・グリーソン・シアター (Jackie Gleason Theater)」を解体して、ホテルにするとかシルクドソレイユ専用劇場を建てるとかいうものでした。すると住民から解体反対運動が起こり、方向修正することに。5月14日に、二社によるマイアミ・ビーチ市&住民に向けたプレゼンがあり、Portman CMCはライブハウスを残す前提の最新プランを発表しました。
Architizer Blog: Oedipal Complex: BIG and OMA Vie For Miami Beach Convention Center Masterplan
(Architizer, 2013年5月14日)
ぱっと見、違いがあまり分からないような…South Beach ACE (コールハース側)も、これまでに発表して来た案をライバルにパクられたと憤慨していたそうですが。コールハース案では、オープンスペースに高さ54フィート(約16.5メートル)の人工の丘を築くそうです。たったこれだけで平坦な南フロリダでは最高峰になるらしい。対してインゲルス案では、展示場の屋上が芝生のスロープになるようです。何しろ起伏というものがほぼ無い土地なので、どちらも訪れた人にとっては新鮮に映ることでしょう。
5月14日の発表ではおおまかな費用と竣工時期もあわせて発表され、コールハース案は12億ドル・2018年半ば竣工予定、インゲルス案は11.5億ドル・2017年夏竣工予定、だそうです(Miami Heraldの記事より)。(※案を決定する締切がいつなのか?は分かりませんでした…)
ちなみにコンベンション・センターと道路を挟んで南側にある「ニュー・ワールド・センター (New World Center)」はビルバオ・グッゲンハイム美術館など奇抜なデザインで知られるカナダのフランク・ゲイリー (Frank Gehry)の設計で、2011年にオープンしました。地元オーケストラ「ニュー・ワールド・シンフォニー」の本拠地、音楽ホールです。
New World Center |
内部にゲイリーらしい造形が。 |
レム・コールハースがマイアミで関わっている別のプロジェクト「Faena Saxony」についてはこちらで少し触れています:
関連エントリー:
プリツカー受賞者ら参加のコンペの結果、またまたOMA物件登場(2013年1月4日)
海辺の美術館ペレス・アート・ミュージアム・マイアミ開館 (2013年12月11日)レム・コールハース案に決定、展示場再開発(2013年7月19日)
H&deM、フランク・ゲイリー、ザハ…マイアミ・ビーチのデザイナーズ立体駐車場 (2013年7月17日)
スター建築家物件、続々-H&dM、N.フォスター、ザハ (2013年4月28日)
参考リンク:
Two teams, two visions presented for Miami Beach Convention Center redevelopment
(Miami Hearald, 2013年5月14日)
OMA
BIG
West 8
New World Center
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