2014年11月22日土曜日

小ネタ:マイアミの個人アートコレクション

マイアミ・ビーチでアート・バーゼルが開催されるようになったのは、現代美術コレクターが多い都市であることが理由の一つという見方があります(byギャラリスト小山登美夫氏)。かつてはアート・バーゼル期間中に、自宅を開放してコレクションを見せていたそうですが、現在では常設の展示場があります。

マイアミでは、Rubell、Cisneros、De la Cruz、Marguliesの四つのファミリーが、それぞれ美術館を持ち現代美術のコレクションを公開しています。このうちCisneros家の「CIFO」はダウンタウンの近くに、残りはウィンウッドの近くにあります。周囲の治安を考慮すると、車で行くのが良さそうです。
Rubell Family Collection外観。元は倉庫。
Rubell Family Collection エントランス
このうち筆者が行ったことがある「Rubell Family Collection」美術館をご紹介します。展示場はもとは政府が押収した麻薬の倉庫を改装したものだそう。周囲はアート地区と荒んだ地区が混ざったような雰囲気です。筆者は人が多いアートフェア期間中に、ミッドタウンから徒歩で行きました。タクシーで来ている人もいました。フェア期間以外は、車で行くのが安全そうに思われます。
(※写真は2013年12月に撮影したもの)

Rubell Family Collectionの外観は地味な倉庫。しかし中に入ってビックリ、質・量ともに充実、洗練された空間が広がっています。これが個人の美術館?アメリカの金持ちおそるべし、と圧倒されました。
1階展示室、「28 Chinese」展
1階展示室、「28 Chinese」展
訪れたときには、常設と思われる展示とともに、中国の現代美術を紹介する「28 Chinese」展をやっていました。企画展だけれど、展示作品はすべて一家の所蔵品。ちょうどこの時期(2013年12月)にオープンしたPerez Art Museum Miamiではアイ・ウェイウェイ展を開催していたので、連携したのでしょうか。
1階展示室、常設とおぼしき展示
1階展示室、常設とおぼしき展示

筆者は中国美術には疎いのですが、展示品にはアイ・ウェイウェイや、「中国現代アート」(牧陽一 著、講談社、2007年)に掲載されている作家の作品を見つけることができました。趣味で好きなものだけ集めたというより、中国現代アート史の観点で重要な作品を収集したのではないかと思われます。
2階展示室へ続く階段
2階展示室
2階展示室、「28 Chinese」展

美術館の解説によりますと、オーナー夫妻は2001年から頻繁に中国本土を訪れ、コレクションを充実させていったと言います。マイアミの街はアジア人が少なく、アジア文化への興味も薄そうなので、意外でした(とはいえRubell一家はニューヨーク出身で、伝説のナイトクラブ「Studio 54」のオーナーの親族です)。
2階展示室、「28 Chinese」展
2階展示室、「28 Chinese」展
2階オフィス。奈良美智の絵がかかっていました。
展示スペースは二階建てで、1階は大型作品が入る大空間、2階はいくつかのギャラリー、さらに小ぶりな屋外展示場があります。展示の仕方も垢抜けていてカッコイイ。ライブラリーを備え、立派な図録を自前で出版し、オーディオガイドまであります。入場料は無料。現代美術に興味がある方には、訪れる価値があると思います。
屋外展示スペース
屋外展示スペース。「28 Chinese」展にちなんでエッグタルトがふるまわれました
ライブラリー
オーディオガイドもある
企画展の図録


参考リンク:
ラルフローレンのウェブ版PR誌に、マイアミの個人コレクションについて書かれています。(日本語)

Rubell Family Collection

Cisneros Fontanals Art Foundation (CIFO)

De la Cruz Collection

The Margulies Collection at the Warehouse

関連リンク:


参考文献:
「アスキー新書061 現代アートビジネス」
(小山登美夫 著、アスキー・メディアワークス、2008年)


「中国現代アート」
(牧陽一 著、講談社、2007年) 

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