2014年3月11日火曜日

ダウタウンにベッカムのサッカースタジアムができる?


2014年2月、元サッカー選手のデイビッド・ベッカム氏がマイアミにメジャー・リーグ・サッカー(MLS)のチームを設立するという発表がありました。チーム発足にともない、サッカースタジアムも新たに建設するそうです。

ラテンアメリカ出身の住人が多いマイアミ、テニスの試合ですらブラジル人選手が登場すれば「オーレーオーレー」とサッカーのノリで応援します。プロサッカーチームができればおおいに盛り上がりそうですね。2017年の始動を予定しているそうです。

ベッカム氏、マイアミのチーム創設を正式発表(ロイター、2014年2月6日)
(ちなみにこの記者会見の会場はペレス・アート・ミュージアム・マイアミ)

Buy it like Beckham? Former England captain set to own Miami MLS team
(BBCニュースのYouTubeチャンネルより)
https://www.youtube.com/watch?v=S--qHNN5zAs
)

新チームのホームスタジアムは現時点でまだ決まっていません。広い土地がある郊外に新規に建てる?あるいはアメフト競技場のサン・ライフ・スタジアム(Sun Life Stadium)を使わせてもらうのだろうか?などと考えていたのですが、ベッカム氏はなんとダウタウンでの新スタジアム建設を構想しているとのこと。

下記のMLS公式サイトによれば、アメリカではシアトル、ポートランド、ヒューストン各都市のMLSスタジアムがまちなかにあり、成功を収めているそうで、ベッカム氏曰く「サッカーファンはコミュニティの一員として歩いて試合を見に行くのが大好き。シアトルの街やファンの様子、そこにある情熱を見てきた。ここマイアミでも同じことが起こるに違いない」(以上、意訳)だそうです。プロバスケットボール・チーム「マイアミ・ヒート」の本拠地はダウンタウンにあるアメリカン・エアラインズ・アリーナですが、サッカーファンにも同様のまちなかスポーツ観戦の体験をしてもらいたいとのことです。

David Beckham assures any Miami soccer stadium will be built downtown 
(MLS Soccer.com、2014年2月5日)

アメリカン・エアラインズ・アリーナ(2013年撮影)
そういうわけで、ベッカム氏と彼のビジネス・パートナー(投資家)は、2万5千人〜4万人収容できる新スタジアム建設の候補地として、ダウンタウン周辺・公共交通利用可能・広さ10〜12エーカー、の土地を探しているそうです。

なおマイアミには、都心からわりと近くにプロ野球チーム「マイアミ・マーリンズ」本拠地のマーリンズ・ボールパーク(2012年完成)があります。チーム・オーナーが建設費を全額負担するのではなく、マイアミ・デード郡が多額のスタジアム建設費を拠出し、納税者の不興を買っています(地域の振興をはかる目的があったといいますが、成功していません)。この点、ベッカム氏らはサッカースタジアムの建設は「ほぼ」民間のお金でまかなうと言っていますが、自治体からの補助金も期待しているようです。
マーリンズ・ボールパーク(2012年撮影)
公共交通&徒歩で行かれるスタジアムは、前述のベッカム氏のコメントによれば「サッカーファンは歩いて行くのが好き」だからファンにとって最適ですが、投資家らにとっては駐車場の整備にかけるお金が少なくて済む、というメリットがあるようです。候補地は30カ所にも上るそうですが、うち5カ所についてMiami Herald紙が報道していました。

報道された新スタジアム建設候補地(投資家の希望):
マイアミ港(PortMiami)
マーリンズ野球場(Miami Marlins Ballpark) 近接地
教育委員会本部(School Board) 周辺
ウィンウッド地区 (Wynwood)
マイアミ国際空港 (MIA) 近接地

David Beckham, investors have identified six potential soccer stadium sites
(Miami Herald、2014年2月9日)

候補地それぞれに公共交通への距離や土地の広さ、地権者の多寡など一長一短あるようですが、これらのうちマイアミ港の端であるドッジ島の南西部(Dodge Island)が最高のロケーションと思われます。アメリカン・エアラインズ・アリーナや、新チーム設立の記者会見がおこなわれたペレス・アート・ミュージアムから近く、スポーツ観戦だけでなく海の眺めも楽しめる。巨大なクルーズ船が次々と出航する場面も見られるでしょう。また現在のマイアミ港は、国際船(貨物・旅客)の発着場であるにも関わらず、港湾施設のほかにこれといった施設がありません。
ペレス・アート・ミュージアムから眺めるマイアミ港
ですが、スタジアム建設案は急に浮上してきた話なのでしょう、マイアミ港を管理しているマイアミ・デード郡には、同港を再開発してオフィスビルなどを備えた商業地区を作る計画があり、スタジアムは計画に入っていません。また同地に拠点を置く船会社のロイヤル・カリビアン社が建設案に難色を示しているといいます。詳細は公表されていないものの、同社にはスタジアム建設候補地と一部が重なる土地を使用する計画があるとのことです。

Royal Caribbean says no to Beckham’s soccer plan, while PortMiami heads abroad to recruit other developers
(Miami Herald、2014年3月6日)
マイアミ港、客船ターミナル
サッカー・スタジアムの建設はそう簡単には行かなそうですね。しかしベッカム氏は「ダウンタウンに建設したい」と言い切っているので、数年後にはマイアミの都心近くでサッカー観戦ができるようになるかもしれません。


なお以下は余談ですが、「ベッカムがマイアミにサッカーチームを作る(かもしれない)」という話が出て以来、憶測や、ベッカム氏とマイアミにまつわるどうでもいいようなストーリーが報道されています。

・フロリダ州パーム・ビーチ市のメディアが報じたという、ベッカム氏のサッカーチームの名称、ロゴの候補。名称は「マイアミ・ヴァイス (Miami Vice)」「マイアミ・カレント(Miami Current)」などの候補があるとか…。

Leaked: Possible Names and Logo for Beckhams’s Miami Team
(Miami New Times、2014年2月12日)


・ベッカム夫妻が6000万ドルでサウス・ビーチの旧ジャンニ・ヴェルサーチ邸を買ったとの報道がありましたが、結局ウソでした。現オーナーは「どこからそんな話が出たのか分からない」とのこと。ベッカムがマイアミで家を探している、マット・デイモンが売りに出している別荘を気に入ったようだ、などの報道もあります。

なお、旧ジャンニ・ヴェルサーチ邸は「Casa Casuarina」とよばれる豪邸で、デザイナーのヴェルサーチ氏は近くのNews Cafeで朝食をとったあと、屋敷の入口まで戻ったところで殺害されました。その後ホテル兼レストランとして営業していましたが、2013年当時のオーナー破産のため競売にかけられ、現オーナーは、隣接するHotel Victorも所有する投資家のグループだとのことです。

Rumors are wrong: Beckhams didn’t buy Versace Mansion
(Miami Herald、2014年3月3日)


・ベッカム氏がマイアミで住む場所を探していると報道される一方、奥さんのヴィクトリアは「私はマイアミに引っ越すつもりはない」と言ってます…。

Soccer wife, Victoria Beckham, says she’s not moving to Miami
(Miami Herald、2014年2月9日)

ベッカム夫妻が購入との噂がたった旧ヴェルサーチ邸

関連エントリー:


参考リンク:
メジャーリーグサッカー公式サイト

0 件のコメント:

コメントを投稿